初-⑥ 座技呼吸法
概要
カリキュラム上は『呼吸法(座法)』と表記されていますが、同じです。
より一般的な呼称である『座技呼吸法』と表記を変えさせていただいております。
片手取り転換法で始まり、座技呼吸法で稽古が終わるというのが基本です。
それくらい、日々の鍛錬、稽古で使用されます。
従って、この座技呼吸法にはそれだけの奥深さがあり、色々なエッセンスが詰まっているともいえます。
非常に奥深く、私も未だにできません。
これまた、突き詰めると難しい技なのですが、五級なので、求めることは最低限の動き。
できなくて当たり前です。
何度も言いますが、精度を上げるのは後にして、何となくの形を覚えましょう。
解説もそれを前提としたものしかしません。
これは先生によって全く違う技と言えるくらい異なると思います。
とりあえず、五級ということもあり、複数パターンを述べると混乱すると思うので、あえてボカシます。
要はめっちゃむずかしいということですので、少しずつ何かを得ていけば良く、効く効かないを現段階で求めてはいけません。
受けの人も、予定調和で動いてあげて下さい。
また、例によって1.2.3と段階的に覚えましょう。
技の流れ
⓪お互いに正座の状態で正対しましょう。
距離は、お互いの膝が触れあわないギリギリくらい近くて構いません。
相手に両手で握られます。
*それぞれ片手ずつという意味です。
①脇を締め、両手の指、手のひらを開きます。
②指先をやや上に向け、相手の肩口に向けて少し押し込むように手を伸ばします。
*伸ばしきらないこと。
*正確には押すと言うよりは擦り上げるようにし、方向は前と言うよりは上に近いです。
目的としては、相手の脇を開け、肘を上げさせることです。
同時に、相手が後方に反るか、腰を浮かせる状態が作れればOKです。
受けの人はある程度力を入れてあげると良いですが、必死に抵抗するのはやめましょう。あえて、受けて崩されてあげることは大切です。
相手が上手くなってきたら、少しずつ抵抗してみましょう。
③ここで、相手が崩れたことを確認したら、横に手を振ると同時に、膝行で90度向き直ります。
*相手が崩れた後に、あまりゆっくりしていると状態が安定してしまうので、タイミングを見てすぐに横に振る必要があります。
*正確には、横に振るというのは正しくなく、膝行で向きを変える際に身体の力、腰の力で横に崩しているのですが、ここではあえて深く考えないで下さい。
受けの人は、横に振られたときにかかってあげて下さい。
どうしても、最初は1.2.3と分解して動作をする必要があります。
その2と3の間に停止する時間ができてしまうため、どうしても流れるように技は決まりません。
そこは、最初のうちは協力してあげて下さい。
④相手を上から押さえます。
押しつけたり、覆い被さるというのではなく、手刀で相手の動きを封じ、起き上がるのを防ぐイメージです。
自分の中心を意識する必要があります。
投げ終わった後、相手が起き上がろうとしても抑えが効いてる状態を作ります。
技を終えた後、力を緩めたりしながらも注意を払っている状態を残心と言いますが、この残心の状態を作ることが非常に大切です。
受けの人は、起き上がろうと少しだけ力を入れてあげて下さい。
起き上がれるようであれば、抑えが効いてません。
取りの動き
①相手に両手を取られます。
上から抑えられるように握られるのか、横から握られるのか・・・
自分の手は膝の上か、腿の上か、臍前か、ちょっと浮いている程度か・・・
両手の距離は開いているのか、狭いのか・・・
状況は様々です。
それぞれにやり方がありますが、自分の臍よりもちょっと上に上げ、
15~20センチくらい手は離す。
指先はやや上にして、予め緩く開いておくと自分に有利な姿勢が取れます。
これで、『両手を取られた』というシチュエーションが『両手を取らせた』に変わります。
結構大事なポイントです。
②脇を締め、両手の指、手のひらを開きます。
この手を開く行為が大事です。
橈骨と尺骨が開くのを感じられると良いのですが・・・。
③相手の肩口を手のひらで触りに行くようにして擦り上げます。
肘が開かないように注意しましょう。
相手の肘が上がり、脇が開くと成功です。
相手の腰が浮いたり、後ろにやや反り返るともっと成功です。
④腰を切り、横に90度向きを変えます。
手で横に振り回すのではなく(最初はそうなってしまって仕方がありません)、
腰で動かしましょう。
相手が崩れるのに合わせ、膝行で相手の向きに向き直りましょう。
⑤手を手刀と見なし、切るように抑える。あるいは、重さを乗せるように制する。残心。
いろんなやり方がありますが、ようは相手が起き上がれないようにしましょう。
そして、自分の中心を維持し、チカラを乗せましょう。
相手が起き上がってこれないように、反撃出来ないように残心です。
受けの動き
①相手の手を握りましょう。
手はしっかりと持ち、相手から視線を外さないようにしましょう。
ただし、あまりぎっちり持ちすぎると、今の段階では取りの人の実力不足で技ができません。
ある程度の緩さは持っていてあげて下さい。
②手を開かれます。
面白いことに、どんなにチカラ差があっても、手首の靱帯は超強力らしく、手は開きます。
なので、どんなにしっかり握っていても、手は開かれます。
*あまり強く握らないであげて下さい。
③相手が自分の肘を上げてきます
抵抗は最小限にしてあげて下さい。
ただし、予定調和過ぎると稽古にならないので、お互いのチカラ、技量に応じてコミュニケーションを取りながら加減を調整しましょう。
④相手が腰を切り、横に振ってきます。
手でやろうとしている場合は軽い抵抗はしてあげて下さい。
ただ、④と⑤の間で流れるように行われない場合は難しいのでその際は抵抗しないであげて下さい。
流れるようにやっている場合は抵抗してみましょう。
*手で強引に横に振っている人が多いです。
⑤相手が制し、残心の姿勢を取ります。
ここはきちんと抵抗しましょう。
投げられて終わりという方が多いです。
しっかりと起き上がれないことを確認しましょう。
相手が油断しているのであれば、そもそも残心が出来ていない証拠です。
ここをおろそかにしては絶対にいけません。