先日、合気会2級審査を受験するUさんに頼まれ、技の確認を行っておりました。
『半身半立ちからの片手取り四方投げ』です。
Uさんは背筋が良く、指先への意識がしっかりとされています。
また、覚えも非常に良く、センスを感じる方です。
私が感じた注意点は2つ。
1.膝行の際に、膝の向きが内側に入りやすい。
*特に次の動作が転換だった場合は、膝を着く前にすでに膝の向きが内側。
2.膝行の際もそうだけど、一番大事な投げの際に腰が浮いている。
*踵の上にお尻が乗っている状態の時間が基本的に短すぎるというのもある。
まず、最初に言っておくと、私は『座技』全般が非常に苦手です。
嫌いと言っても良いですけど・・・。
理由は簡単で、膝行が下手だから。
ただ、ある日を境に非常にマシな状態になりました。
合気会のI師範の稽古の際に相対的な位置取りというものを教わったのは大きかったのですが、
それ以上に、『とにかく自分は動かず、相手をいち早く地面に伏せさせる』ということを最優先させるようにしたからです。
相手がすぐにうつ伏せになってしまうと、自分は膝行で歩く距離が短くなります。
ましてや、すでにうつ伏せで、制されている状態ですから、こちらはゆっくりと丁寧に最終位置に移動するゆとりが生まれます。
自分の動きは最小に、そのために相手をその場で制する。
これを意識した日から、本当にマシになりました。
さて、座技の中で、出来ない場合、上手くいかない場合は大体が膝行に問題があるのですが、、、。
今回はちょっと、ポイントが違います。
1.の膝行の際に膝が内側に入ってしまう。
これは実は非常に多いです。
特に女性の方が多いですが、膝行の際、座技からの正面打ちの際などは必ず相手の方向、正面に膝を進めましょう。
私もたまに内側に入ってしまいますので、意識して注意しております。
なお、膝はあまり立てすぎないようにしています。
私の中では、地面に対して90度以上立てることはありません。
受けの場合は90度近くまで立てても良いと思います。
特に、正面打ちの際は。
ただし、受けの際は90度以上足を立てると、そのまま膝を着くと移動距離がだいぶ出ます。
おそらくですが、距離が多くなればなるほど、歩幅が広くなるわけですから、不安定さが増すのと、
その後の迅速な移動、方向転換が難しくなります。
また、90度以上であれば、その時点で足が居着くことが多いです。
なので、私は意識して90度以下になるようにしています。
自分の進む方向に膝!
とにかくこれは徹底です。
2.ですが、これこそが半身半立ちからの片手取り四方投げの最大の肝だと思います。
なので、これができないというか、出来ていないのは多くの初心者がそうです。
頭の中で、どっちの足を出すんだっけ?
ここで転換だっけ?
となっており、いっぱいいっぱいだと思います。
しかし、技の本質を考えて突き詰めると、ここは絶対に外せないポイントとなります。
半身半立ちの片手取り四方投げは『自分の重みで投げる』からです。
投げる際に十分に腰を落とし、腰の重みを相手に伝えるからこそ投げられるのです。
自分は座っており、相手は立っているという圧倒的不利な状況で、普通に相手を投げられるわけありません。
手で投げるにもいかんせんチカラが入りにくく、移動力で投げるにしても、座技だけに膝行では前進力が足りません。
繰り返しますが、『自分の重みで投げる』というのがポイントです。
これは意識して腰を落とすことで意外と簡単に実現できますが、
逆に意識していないといつまでたっても力技となってしまいます。
膝行の際に、しっかりと後ろ足を寄せ、自分のお尻を踵に乗せる。
基本と言えば基本なんですが、意外とこれが出来ないんですよね・・・。
ついでに言うと、膝がどちらか一方でも浮いている状態はなるべく作りたくないので、
その瞬間は迅速にし、なるべく両膝が着き、お尻が乗っている状態を安定した状態として構築します。
Uさんはこのことを説明すると、ものの数分で改善できました。
私は長期間かかったのに・・・。
おそらく、1.の方は癖になっていると思うので、意識してしばらくは治すことになると思いますけどね。